2015年から「グローバル知財戦略フォーラム」として2日間の開催でしたが、今年からは1日の開催となり、2014年までの「国際知的財産活用フォーラム」は確か1日開催でしたので、元に戻った感じです。確かに、毎年、初日の午前は1000人を超える聴講者がいますが、午後からは徐々に少なくなり、2日目は半分程度になってしまっているようでした。

特許庁長官挨拶の後、午前は知財活用に積極的な大企業(三菱電機、花王)の知財戦略に関する講演が2テーマ、午後は2つの会場に分かれて、それぞれ3つのテーマについてパネルディスカッションが行われました。また、午前と午後の間の昼休み時間を利用して、特許庁意匠制度企画室長による意匠法改正ミニセミナーもあり、非常に充実した1日となりました。

今年のテーマは「世界で戦うためのビジネス戦略」

例年、グローバル知財戦略フォーラムにはテーマがあり、今年は「世界で戦うためのビジネス戦略」でした。午前講演の三菱電機、花王はもちろんのこと、午後のパネルディスカッションに登壇した中小企業も規模の大小はあるものの、知財を活用して海外展開を成功させており、その事例はとても興味深いものでした。個人的には、中小企業がどのように知財を活用しているのかに興味があるため、午後のパネルディスカッションは毎年、中小企業がパネラーとなっている会場に足を運んでいます。

今年は「世界で戦っている」中小企業がメインでしたが、昨年や一昨年は、スタートアップの知財戦略もテーマの一つになっていたと思います。今年のパネリストも多様でしたが、その中でも特に興味を引いた2社がありました。

一つは、蛇口から流れ出す水の90%を節水できるノズルを開発・販売するDG TAKANOの高野雅彰氏。町工場経営者の職人である父親を見て育ちながら、社会的正義があり、勝ち続けるためのデザイン戦略など、苦労話や夢を織り交ぜながら、非常に考えさせられるスピーチでした。

もう一つは、精密部品製造の会社を航空宇宙分野に進出して経営を立て直し、さらに技術力はあるが、それ以外の管理部門や販売戦略部門等が弱い中小企業をグループ化したホールディングスを形成する由紀ホールディングスの大坪正人氏。40人規模の会社でありながら、代々受け継いできた技術力を生かして航空宇宙分野に進出して成功し、日本よりも市場の大きいフランスに子会社を設立して海外展開を行い、さらに技術力をもった製造業の減少に胸を痛め、ホールディングス会社まで立ち上げたバイタリティーには元気づけられました。